「建機メーカーの期間工は、自動車メーカーより稼げるのか」。
コマツを調べる人が最初に引っかかるのがこの一点です。
答えは日給9,850円〜11,420円、満了金は6か月ごとに30万〜40万円。
初年度年収は489万〜521万円が現実的なラインになります。
- コマツ期間工の日給・月収例が工場ごとにいくら違うのか
- 満了金(満期慰労金)の金額と、支給を逃さないための条件
- 入社祝い金・特別手当・更新手当を合計した初年度年収の実額
- 寮費無料の工場と自己負担が出る工場の見分け方
- トヨタ・アイシンと比べたときのコマツの立ち位置
注意したいのは、この金額の幅そのものがコマツ最大の落とし穴だという点。
同じコマツ期間工でも、応募する工場を間違えると年収で30万円以上の差がつきます。
年間休日128日という休みの多さも魅力ですが、それを享受できるかどうかも工場次第です。
この記事では工場ごとの条件を数字で並べ、どこを選べば損をしないのかまで踏み込んで整理しました。
また、コマツについては公開されている募集要項をもとにした比較・調査としてお伝えし、トヨタで実際に体験した給与の仕組みと突き合わせる形で解説していきます。
コマツ期間工の日給と月収例|工場によって1万円以上の差がつきます
コマツ期間工の給料でまず押さえるべきは、日給が全社統一ではないという事実です。
自動車メーカーの多くは全工場でほぼ同じ日給テーブルを使いますが、コマツは工場ごとに製造している建機の種類も工程も違うため、賃金体系そのものが分かれています。
| 工場 | 所在地 | 日給/基本給 | 月収例 |
|---|---|---|---|
| 粟津工場 | 石川県小松市 | 日給11,420円 | 345,830円(残業20時間+休日出勤手当) |
| 小山工場 | 栃木県小山市 | 日給10,380円 | 340,000円以上(160時間+残業30時間+各種手当) |
| 茨城工場 | 茨城県ひたちなか市 | 日給9,850円〜10,250円 | 320,000円前後 |
| 氷見工場 | 富山県氷見市 | 月給202,000円〜 | 354,000円(夜勤・残業・休日出勤込み) |
日給が最も高いのは粟津工場(石川県)
粟津工場の日給11,420円は、自動車メーカーの主力工場と比べても遜色ない水準です。
中小型の油圧ショベル・ホイールローダー・ブルドーザーに加え、トランスミッションやアクスルといったコンポーネント部品まで手がける、コマツの中核工場という位置づけが賃金に反映されているのでしょう。
工程管理(フォークリフトでの部品運搬)、インパクトを使った組立、カップガンでの塗装、NC旋盤やマシニングセンタでの加工と、任される作業の幅が広いのも特徴です。
氷見工場は「日給制ではなく月給制」
氷見工場だけは月給202,000円〜という月給制を採っています。
旧コマツキャステックスにあたる鋳造の拠点で、国内トップクラスの鋳造品生産量を持つ工場です。
基本給に夜勤手当・残業手当・休日出勤手当を加えた月収モデルは354,000円。
基本給は4工場で最も低いのに、月収モデルは最も高いという逆転が起きているのは、それだけ交替勤務と残業が組み込まれているからです。
ここは判断が分かれるポイントです。稼働時間で稼ぐ働き方が合う人には有利ですが、生産調整が入って残業が減った月は、日給制の工場より落ち込み幅が大きくなります。
茨城工場は日給がやや控えめで、応募条件にも注意
茨城工場はダンプトラックや大型ホイールローダーといった超大型建機の拠点で、日給は9,850円〜10,250円。4工場のなかでは控えめです。
加えて茨城工場は男性のみの募集となっているため、女性が応募先を検討する場合は他工場を見る必要があります。
私がトヨタにいたとき、同じ会社でも工程によって身体の疲れ方がまるで違うことを実感しました。
コマツの場合は工程どころか工場単位で賃金まで変わるので、「コマツ期間工の給料はいくら」という平均値を追いかけても、あまり意味がありません。
見るべきは自分が配属される工場の数字です。
コマツの満了金(満期慰労金)は6か月ごとに30万〜40万円
期間工の年収を大きく動かすのが満了金です。
コマツでは「満期慰労金」と呼ばれ、6か月の契約期間を満了し、その期間の出勤率が90%以上であることが支給の条件になります。
粟津・茨城・氷見は6か月ごとに30万円
この3工場は6か月ごとに30万円という共通の水準です。
年間では60万円、契約上限の2年11か月まで勤め上げた場合は3年総額で最大180万円に達します。
小山工場は37万円+業績加算金3万円で最大40万円
小山工場だけは金額の作りが違います。満期慰労金が37万円、これに会社の業績が良好な場合の業績加算金3万円が上乗せされ、1回あたり最大40万円、年間で最大80万円という設計です。
粟津との差は年間で20万円。日給では粟津が上回るのに、満了金では小山が逆転するという構造になっています。
出勤率90%の壁は想像より高い
ここが一番の注意点です。6か月間の出勤率90%というのは、ざっくり120日出勤するうち欠勤が12日までという計算になります。
余裕があるように聞こえますが、実際には体調不良や身内の用事が重なると簡単に削られます。
私自身、トヨタ時代に風邪をこじらせて2日続けて休んだとき、真っ先に頭をよぎったのが満了金でした。
数十万円が出勤率という一本の線で決まるので、あの時期の緊張感は今でも覚えています。
コマツも同じ90%基準ですから、入社時に付与される有給休暇5日を「体調を崩したときの保険」として温存しておく判断は、かなり効いてくるはずです。
有給の取得は出勤扱いになります。
満了金と手当の設計を工場ごとに見比べたうえで応募先を決めたい場合は、募集要項が更新されるタイミングで条件が変わることもあるため、最新の求人を確認してから動くのが確実です。
コマツは全工場で常時募集しているわけではなく、時期によって募集を停止している工場があります。
希望工場が募集停止中でも、他工場や近い条件の求人を案内してもらえるため、まずは募集状況の確認から始めるのが効率的です。
応募は電話ではなくWEBから行ってください。
入社祝い金・特別手当・更新手当|一時金だけで30万円以上
コマツには満了金とは別に、タイミングごとに支給される一時金が用意されています。
金額が明確に公開されている小山工場を例に整理します。
| 手当 | 金額 | 支給タイミングと条件 |
|---|---|---|
| 入社祝金 | 13万円 | 入社後2週間経過時点で在籍、その間の出勤率90%以上(初回1回のみ) |
| 特別手当金 | 10万円 | 入社後3か月経過時点で在籍、出勤率90%以上(初回1回のみ) |
| 更新手当金 | 10万円 | 契約更新後3か月間の出勤率90%以上(更新の度に支給) |
一時金だけで初年度33万円。これに満了金が加わります。粟津工場の場合は入社祝金の代わりに転居手当14万円が一律支給(交通費・荷物運搬費用として)という形になっており、工場ごとに名目と金額が入れ替わる点は押さえておきたいところです。
なお氷見工場でも勤続3か月時点で特別手当10万円が支給されます。
「入社祝い金がない工場は損」と決めつけると判断を誤ります。名前が違うだけで、まとまった一時金は各工場に用意されているためです。
【初年度シミュレーション】コマツ期間工は年収いくらになるのか
数字を並べただけでは実感が湧きにくいので、小山工場と粟津工場で初年度の年収を組み立ててみます。
いずれも出勤率90%以上を満たし、業績加算金も支給された前提の試算です。
| 項目 | 小山工場 | 粟津工場 |
|---|---|---|
| 月収(12か月分) | 340,000円×12=408万円 | 345,830円×12=約415万円 |
| 満了金(6か月×2回) | 40万円×2=80万円 | 30万円×2=60万円 |
| 入社時の一時金 | 入社祝金13万円+特別手当10万円 | 転居手当14万円 |
| 更新手当 | 10万円 | ー |
| 初年度年収の目安 | 約521万円 | 約489万円 |
小山工場が粟津を上回る結果になりました。日給では粟津が1,040円高いにもかかわらず逆転するのは、満了金と一時金の設計差が効いているからです。
期間工の年収は日給ではなく「日給+満了金+一時金」の総額で比べるという原則が、コマツではとりわけはっきり表れます。
ただしこの試算は残業が想定どおり発生した場合の数字です。
月収例に含まれる残業は小山で30時間、粟津で20時間。残業が半分になれば年収は30万〜40万円下がります。
求人票の月収例を鵜呑みにせず、面接時に直近の残業実績を聞いておくと安心です。
トヨタ時代、日勤専属だった月と2交替に入った月とで手取りが3万円以上変わったことがありました。
基本給が同じでも、夜勤手当と残業手当の有無で月の着地はここまで動きます。
コマツも交替勤務時の夜勤手当が1日あたり4,100円支給されるので、同じ構造で考えて差し支えありません。
寮費無料は共通、ただし例外もあります
コマツ期間工の寮は、基本的に寮費無料の1Rタイプ(テレビ・冷蔵庫・洗濯機などの生活備品付き)です。
粟津工場の寮は工場まで徒歩5分と、通勤負担がほとんどありません。
大阪工場では寮費に加えて水道光熱費まで無料という条件が提示されています。
一方で、石川県小松市のレイクサイドコマツ寮のように寮費1万円が発生するケースも確認されています。
また寮費無料の工場でも、水道光熱費と駐車場代は自己負担となるのが一般的です。
手取りを計算するときは、月1万〜1万5千円程度の生活インフラ費を見ておくと現実に近くなります。
住居費がほぼゼロになる意味は大きく、月収34万円の手取りをそのまま貯蓄に回せる環境が作れます。
1年で300万円貯めたという話が期間工界隈でよく出るのは、この寮制度があるからです。
トヨタ・アイシンと比べてコマツの給料はどの位置にあるのか
同じ土俵で比べるために、公開されている日給水準を並べます。
| メーカー | 日給の目安 | 満了金の設計 | 年間休日 |
|---|---|---|---|
| コマツ | 9,850円〜11,420円(工場差あり) | 6か月ごと30万〜40万円 | 128日(粟津工場) |
| トヨタ | 10,100円〜(在籍期間で昇給) | 6か月ごと(勤続に応じて増加) | 121日前後 |
| アイシン | 11,118円〜(時給1,420円換算) | 契約満了時に支給 | 121日 |
日給の上限だけを見ればコマツ粟津工場が並び、下限を見ると茨城工場が最も低くなります。
つまりコマツは「レンジが広いメーカー」であって、高い低いを一括りにできません。
判断の根拠になるのは、あくまで自分が配属される工場の条件です。
休日数についてはコマツが優位です。粟津工場の年間休日128日は、自動車メーカーの121日前後より7日多い計算になります。
厚生労働省の就労条件総合調査による一般企業の平均年間休日116日と比べても、かなり恵まれた水準といえます。
体力の消耗を抑えながら長く続けたい人にとって、この7日差は数字以上の意味を持つはずです。
給与の絶対額で比べたい場合は、トヨタの給与体系を先に把握しておくと基準ができます。
日給の昇給ルールや満了金の積み上がり方が期間工のなかでは標準的で、他メーカーを測る物差しとして使いやすいためです。

コマツ期間工で収入を最大化する3つのポイント
同じコマツで働いても、選び方と過ごし方で年収は数十万円変わります。押さえておきたい点を3つに絞りました。
交替勤務のある職種を選ぶ
コマツでは加工・組立・工務が日勤専属、溶接・塗装が2交替という職種分けになっている工場があります。
日勤専属は生活リズムが安定する代わりに、夜勤手当4,100円/日と深夜割増30%が付きません。
月10日夜勤に入れば手当だけで4万円強の差です。
稼ぎを優先するなら、選考時に交替勤務を希望する意思を明確に伝えておくべきでしょう。
フォークリフト免許があるなら必ず申告する
コマツの採用試験では、フォークリフト免許の保有が優遇される傾向にあります。
工程管理(部品運搬)に直結する資格だからです。すでに持っているなら履歴書と面接の両方で必ず触れてください。
持っていない場合も、クレーン・玉掛けなどは入社後の教育時に取得できる制度が整っているため、在籍中に取っておくと次の契約や正社員登用で効いてきます。
有給5日を「出勤率の保険」として使う
前述のとおり、満了金は出勤率90%が絶対条件です。
コマツは入社時点で有給休暇5日が付与されるという珍しい制度を採っており、有給取得は出勤扱いになります。
体調を崩しそうな日に欠勤ではなく有給を充てれば、出勤率を落とさずに休めます。
この5日をいつ使うかで、満了金30万〜40万円の受け取りが変わると考えてください。
正社員登用は「1年勤務」から狙えます
コマツには正社員登用制度があり、期間工として1年継続勤務すると受験資格が得られます。
小山工場では2022年度の登用実績として、登用試験受験者に占める登用者の割合が20.3%と公表されています。
受験者の5人に1人が通る計算です。
期間工の正社員登用は、メーカーによって受験のハードル自体が高く設定されている場合があります。
コマツのように1年で受験資格が発生し、実績値まで開示されているのは、目標を立てやすい環境といえます。
現職場に希望を出し、仕事内容と面接時の評価で受験の可否が判断される流れです。
登用を本気で狙うなら、メーカーごとの登用されやすさを先に比較しておくと、コマツを選ぶ判断に確信が持てます。

ここまでコマツの条件を細かく見てきましたが、建機メーカーという選択肢が自分に合っているかは、自動車メーカーを含めた全体像のなかで判断したほうが後悔がありません。
日給・満了金・寮・登用実績を横並びで比べた結果を先に見ておくと、コマツの立ち位置がはっきりします。

まとめ|コマツは「工場選び」で年収が決まる期間工です
コマツ期間工の給料を整理すると、次のようになります。
日給は9,850円〜11,420円で工場差が大きく、満了金は6か月ごとに30万〜40万円。
入社祝金13万円・特別手当10万円・更新手当10万円といった一時金を積み上げると、小山工場で初年度約521万円、粟津工場で約489万円という試算になります。
寮費は基本無料、年間休日は128日(粟津工場)と、生活面の条件も整っています。
そして最大のポイントは、日給が高い工場が年収も高いとは限らないという点です。
粟津は日給で勝り、小山は満了金と一時金で勝つ。どちらを選ぶかは、短期集中で稼ぎたいのか、2年11か月まで腰を据えたいのかによって変わります。
コマツは全工場が常に募集しているわけではありません。
希望する工場のタイミングが合うかどうかは運の要素もあるので、募集状況だけでも早めに確認しておくと選択肢を広く持てます。
建機の製造に関われる機会は、期間工のなかでもそう多くありません。
私も期間工時代を振り返ると、稼ぎの差を生んだのは日給より「休まなかったこと」でした。出勤率90%の条件は、稼ぎたい人ほど軽く見ないでほしいポイントです。
コマツ期間工に関するよくある質問
- コマツ期間工は未経験でも応募できますか?
-
応募できます。各工場の求人で未経験歓迎が明記されており、入社後に教育プログラムを受けてから配属される流れです。クレーン・玉掛けなどの資格も入社時教育で取得できる体制が整っています。応募資格は18歳以上で、学歴や職歴の条件はありません。
- 面接はオンラインで受けられますか?
-
工場によって形式が異なります。集団面接を定期開催している工場もあれば、随時個別で受け付けている工場もあるという状況。面接から就業開始までは最短3日、長くて2週間程度が目安です。写真付きの履歴書と筆記用具は必ず持参してください。オンライン対応の可否は募集ごとに変わるため、応募時の確認が必要です。
- 女性でもコマツ期間工として働けますか?
-
働けます。実際に女性の期間従業員が在籍しており、フォークリフト運搬や機械加工など力仕事に限らない工程も少なくありません。ただし茨城工場は男性のみの募集となっているため、応募先の選択には注意してください。
- 満了金がもらえないことはありますか?
-
あります。契約期間を満了していても、その期間の出勤率が90%未満だと支給対象から外れます。有給休暇の取得は出勤扱いになるので、体調不良で休む場合は欠勤ではなく有給を充てるのが確実です。
- 年齢制限はありますか?
-
明確な上限は設けられていません。業務の性質上20代〜40代の採用が中心ですが、経験や保有資格によっては50代以上で採用される例もあります。強みになるのは溶接・機械加工の実務経験。年齢よりも、任せられる工程があるかどうかで判断されると考えてください。
- 一度退職した後、コマツに再応募できますか?
-
再応募自体は可能ですが、前回の契約満了状況や退職理由が確認されます。契約途中で退職した場合は不利に働くことがあるため、次を見据えるなら契約は満了させてから動くのが賢明です。








